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有楽町三億円事件犯人逮捕への知られざる塚本&緒方の秘話!府中三億円事件の苦い経験が犯人逮捕へ!

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1968年に東京都・府中で発生し、世間を大きく賑わせた「三億円事件」

多くの遺留品が現場に残され、警察官述べ9万人が捜査にあたったものの、犯人逮捕には至らず未解決となった前代未聞の事件です。

そんな世紀の大事件から18年後の1986年。

東京・有楽町にて現金輸送車が襲われ、現金3億3300万円が奪われた「第二の三億円事件(有楽町三億円事件)」が発生。

捜査は難航し、三億円事件の二の舞になるのではないか…と迷宮入りが危惧される中、執念でこの事件を解決へと導いた、一人の刑事と鑑識員の知られざるストーリーがありました。

今回は「有楽町三億円事件」を解決へと導いた、刑事と鑑識員の二人の物語に迫っていきたいと思います。

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有楽町三億円事件【リベンジ】

1986年11月。

東京・有楽町にある三菱銀行有楽町支店前にて、現金輸送車が4人組の男たちに襲われ、3億3300万円が奪われる事件が発生。

事件発生から約1時間後、現場近くの地下駐車場にて、犯人たちが乗り捨てたと思われる白いワゴン車と、現金が入っていた空のケースが発見された。

ワゴン車には、毛布、枕カバー、フルフェイスといった、約20数点もの遺留品が残されていた。

車内には、マイケル・ジャクソンの人面マスクも残されており、犯行時犯人たちはこれらを被っていたため、目撃者は誰も犯人の顔を見ていなかった。

現場検証のため、現場に最初に足を踏み入れたのは警視庁鑑識課・指紋係の塚本氏。

しかし、塚本は長年の勘から現場からは、犯人につながる指紋は出てこないだろうと感じていた。

するとそこに、警視庁捜査一課の刑事・緒方氏が現れた。

緒方は塚本よりも3歳年上であり、二人は最初に配属された派出所で、先輩後輩の仲だった。

二人は「警視庁本部の捜査一課の刑事になる」という同じ夢があり、将来について熱く語り合ったこともあった。

その後、緒方は捜査一課に配属され「落としの八兵衛」の異名を持つ凄腕刑事・平塚八兵衛に認められるほどの刑事に成長。

高い検挙率を誇る緒方は、警察関係者の間では「赤鬼」と呼ばれ、捜査一課きっての凄腕刑事となった。

一方の塚本は、捜査一課に入るという夢を抱いていたものの、鑑識課に配属された。

最初こそ望まない課に配属になった塚本だったが、次第に鑑識の仕事にのめり込むようになった。

そして、着実に実績を残していき「指紋の神様」と言われるほど、指紋のエキスパートとなった。

そんな二人が、有楽町三億円事件の現場で再会し、仕事を共にすることになる。

緒方率いる捜査一課、そして塚本率いる鑑識課。

緒方はどちらが、先に犯人を割り出すのか勝負しようと言い、塚本も緒方に同じ事件で挑戦できると、より一層犯人検挙に向けて燃えた。

また、かつての捜査一課の捜査に不満を抱いていた塚本にとって、負けられない勝負でもあった。

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【1968年最初の三億円事件での苦い経験】

1968年東京都・府中にて。

三億円を積んだ現金輸送車が、車ごと強奪されるという前代未聞の事件が発生した。

これが世間を大きく賑わせた第一の「3億円事件」

犯人の手口は華麗だった。

現金を運ぶ輸送車の前に、偽の白バイが現れ、車に爆弾が仕掛けられている可能性があると、乗員を下ろした。

そして偽警察官が、車体の下を調べ始める。

その直後、偽警察官が、爆弾に見せかけるため隠し持っていた発煙筒に火を付け車体の下に隠し、「爆発する!」と銀行員をその場から離れさせた。

その間、偽警察官は車に乗り込み、車ごと奪って逃走。

現場には、発煙筒と男が乗っていた白バイが残され、積んであった現金3億円(現在の価値にして約10億円)もの大金が一瞬にして奪われたのだった。

現場には白バイを始めとする、多くの遺留品や指紋が残されたが、結局犯人逮捕には至らず時効を迎えた。

まだ駆け出しだった塚本は、この事件に指紋係として関わり、多くの指紋の照合を行った。

当時、捜査本部の指示の元、指紋を絞り込んで照合を行うことは許されず、現場から採取された30の指紋と、6000万人にも及ぶ犯罪歴のある指紋を照合するよう命じられた。

それに対し、鑑識員はたったの5人…。

塚本たちは、次から次に舞い込んでくる大量の指紋の照合に忙殺され、それと同時に偽白バイに残された「顕在指紋」をなぜ重要視しないのか、本部の捜査方法に疑問を抱いていた。

その指紋に絞って照合を進めれば、早く犯人にたどり着けるはずだと塚本は考えていたが、塚本の意見は聞き入れられなかった。

そして、この三億円事件は時効を迎え、犯人は捕まることもなく、事件は迷宮入りしてしまった。

この時の辛い経験があったからこそ、塚本は指紋捜査を極めようと決心したのだった。

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【塚本の覚悟】

「有楽町三億円事件」発生から2日後。

赤坂・豊川稲荷の地下駐車場にて、犯人が奪った現金の一部が発見される。千円札ばかりで、約1,500万円放置されていた。

犯人は1000円札がかさばり捨てたのだろう…。

そのうちの3000枚(300万円分)の千円札が新札であることがわかり、犯人以外で新札に触れる人物は限りなく少ないと考えられた。

塚本は、この新札から指紋が見つかれば犯人に辿りつけるかもしれないと考え、さっそく検出作業に入った。

一枚一枚を検出液に浸し、電子レンジで乾かす。指紋がついていれば、化学反応によって浮き出てくるはず。

10日に及ぶ作業の結果、7つの指紋が浮上した。

銀行や印刷局など、新札に触れた可能性のある人物200人に協力してもらい、7つの指紋と照合を行った。

そのうち1つが、印刷局職員のものであると判明したが、残り6つの指紋の持ち主は不明だった。

この6つの指紋こそが、犯人逮捕への手がかりとなる。塚本はそう考えた。

そして、この6つの指紋は「指紋自動認識別システム(AFIS)」にかけられ、膨大な過去の犯罪者の指紋の照合が行われた。

しかし、一つもヒットすることはなかった。

となると、犯人は犯罪歴のない人物である可能性が高い…。

同時に、鑑識課では捜査一課が持ち込む指紋との照合作業も行われていた。

現場からは、約700を超える指紋が見つかっていたが、塚本は6つの指紋との照合しか命じなかった。

これは、最初に起こった「3億円事件」での苦い経験からだった。

もしも、あの時偽の白バイに残っていた健在指紋一つに絞っていれば、犯人逮捕にたどり着けたかもしれない…。

その経験から、塚本は指紋は絞り込まなければいけないと考えていた。

以前起きた「三億円事件」の時は、まだ一係官であったため塚本の意見は聞いてもらえなかったが、着実に実績をあげてきた今の塚本の意見は尊重される。

もしこの方法が間違っていれば、塚本は辞職することを考えていた。

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【緒方の執念の捜査】

特捜本部の指揮を執ることになった緒方も、過去の三億円事件の教訓を活かし、捜査にあたっていた。

府中三億円事件では、最大時で200人以上の捜査員が動員され、それが逆に膨大な情報量に振り回され捜査が錯綜した。

その時の苦い経験を活かし、今回の有楽町三億円事件では約60名の精鋭部隊とし、きめ細かい捜査方法で進めていくことにした。

緒方は、現場に残された大量の遺留品を「犯行用具」と「生活用品」の2つに分類した。

そして、「生活用品」の方に目を向け、その中でも緒方は「毛布」に目をつけた。

その毛布にはタグがついており、レンタル品であることが判明。

タグを頼りにリース会社を調べていくと、遺留品と同じ型の毛布が49枚貸し出されていることがわかった。

緒方の指示により、刑事たちはこの毛布のレンタル先をひとつひとつ調べていった。

しかし、貸出先が既に引っ越していたり、ホテルや会社に貸し出されていたりと、捜査は想像以上に難航した。

それでも刑事たちは、都内周辺を調べ尽くし、執念深く毛布の貸出先を調べていった。

今度は絶対に犯人を捕まえなければいけない。塚本、緒方たちはプレッシャーとも闘っていた。

【一課と鑑識の結束】

殺人事件でも4ヶ月ほどで解決するのが普通とされる中、事件発生から8ヶ月が経過しようとしていた。

しかし、犯人につながる手がかりは見つけられずにいた。

塚本は、6つの指紋が、普通の指紋に比べやや大きく肉厚であることに気になっていた。

おそらく犯人は大型な男に違いない…。

一方の緒方も、捜査が難航しもがいていた。貸し出された毛布の行方は未だわからない…。

捜査が長期化することで、捜査員の気持ちが低下するのも気がかりだった。

 

事件から9ヶ月後。

来る日も来る日も、指紋の照合作業を行う鑑識課の空気は苛立ち始めていた。今回の事件も迷宮入りしてしまうのではないか…。

誰もがそう思っていた矢先、特捜本部のトップである緒方が鑑識課を訪れた。

鑑識課と本部は同じ事件を扱っていても、全く別行動であるため、本部のトップが鑑識課に足を運ぶことは異例中の異例である。

また捜査一課は鑑識課を軽視する傾向にあったため、鑑識課のスタッフは誰もが驚いた。

もしかして怒鳴られるのではないだろうか…

しかし、緒方は係の一人ひとりに対し「ご苦労さま。大変でしょうがよろしくお願いします」と頭を下げていった。

これまで、どこか険悪なムードがあった一課と鑑識課だったが、緒方の行動によって、結束が固まった。

鑑識課では、絶対に犯人を挙げてやろうと、落ちていた気持ちが奮い立つきっかけともなった。

そして、塚本は緒方に「犯人は大柄の男であるため外国人の指紋も持ってきてほしい」と言ったのだった。

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【手がかり】

やがて事件は急展開を迎え始める。

49枚の毛布のうち48枚の貸出先を突き止め、残り1枚の49枚目の毛布の行方が、なかなか掴めなかった。

おそらくこの毛布の借り主がシロである可能性が高い…。

そして、ついに49枚目の毛布の借し出し先が突き止められ、ウィークリーマンションに住む外国人であることがわかった。

塚本が言っていた通り、やはり犯人は外国人だったのだ。

更に、ウィークリーマンションに住んでいた外国人は、事件の2週間前にマンション契約のため、一括で家賃を、現金で支払っていたことが判明。

緒方は同じ頃、日本円に両替した外国人がいないか、マンション周辺の金融機関を徹底的に調べ尽くした。

やがて、両替の際に提出した国際免許証の控えから、フランス人の男が浮上した。

特捜部はフランス政府に協力を依頼し、犯罪者リストの中から免許証に使われていた写真に似た男の指紋を送ってもらった。

そして、緒方は送られてきた指紋を塚本に託したのだった。

【結末:犯人逮捕へ】

1987年10月28日。

鑑識課ではフランスから届いた指紋の照合を始めた。

そして、照合を行っていた一人の鑑識員の手が止まった。

「符合しました」

塚本は自らループを覗いて指紋を確認した。

一人のフランス人の指紋が、千円札の新札から見つかった「6つの指紋」と完全に一致していた。

すぐさまフランス当局に報告し、犯人が割り出された。こうして、犯人は逮捕されたのだった。

緒方が遺留品から犯人につながる手がかりを見つけ、それを塚本率いる鑑識課が指紋照合を行い犯人逮捕へとつながった。

迷宮入りした「三億円事件」の二の舞にはならないと奮闘した男たちの、執念の捜査が犯人逮捕へと至ったのだった。

【犯人について】

犯人はフランスの集団であり、主犯はフィリップという男だった。

フィリップは祖国で次々と犯罪に手を染めており、手にした絵画を売りさばくため日本に訪れていた。

しかし、思ったように絵画は売れず、やがて仲間を集め現金を強奪することを計画。

現金輸送車はいつも同じ時間、同じルートを辿ることを知り、大胆にも計画を実行したのだった。

フィリップら犯人は現金を奪った直後、そのまま海外に逃亡。

1000円札は邪魔になるという理由で捨て、日本を後にしたのだった。

1987年10月。

フィリップは潜伏先のメキシコで逮捕され、犯行に加担した他の男たちもフランスにて逮捕された。

(おわり)

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