歴史上凶悪犯罪のひとつとして映画や小説でも描かれた「西口彰事件」
全国13万人の警察を次々と欺き逃亡を続けた犯人を見つけたのは、なんと当時11歳の少女でした。
今回は、そんな世紀の大事件の真相に注目してみました。
西口彰生い立ち~裕福だった実家・厳しい戒律に耐えられず犯罪と服役を繰り返す~
1925年西口彰は大阪にて生まれる。
両親の故郷は長崎県五島列島。
西口彰の父親は、大阪に出稼ぎに行き稼いだ資金で長崎県五島列島に戻り、アジやサバの船を2隻を所有し、さらには大分に旅館を経営するなど裕福な家庭だったと言われている。
また、五島列島は隠れキリシタンの伝統が残っており、西口彰も中学から福岡のミッション系スクールに入れられた。
しかし、厳しい戒律のある寮生活になじめずに3年生の時には中退し家出。
その後、窃盗・詐欺を繰り返し少年刑務所に入れられる。
出所後も幾度となく、窃盗や詐欺事件を起こし、犯罪を起こしては服役の繰り返しだった。
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西口彰事件の真相概要~次々と事件を起こし全国を逃亡し続けた男~
犯罪を繰り返しつつも西口彰は20歳で結婚。
その後3人の子宝にも恵まれる。
しかし、1963年10月。
西口彰、37歳の時に事件を起こす。
福岡県内のタクシー運転手の男性が何者かに刺され命を落とした。
さらに、同じ頃現場から約2キロ離れたところで、もう別の男性が命を落としているのが発見される。
被害者となった二人は、朝から集金に回っており、夕方頃から行方がわからなくなっていた。
そして、車内からは、集金したはずの現金が無くなっていた。
被害者が訪れた集金先の家人が、被害者と同行していた西口彰を目撃していたことから、警察は事件から2日後、前科があった西口彰を全国指名手配。
事件現場に残されていた指紋と西口彰の指紋が一致、自宅からも血がついた衣類が見つかった。
しかし、自宅には西口彰はおらず、愛人宅にもおらず行方をくらましていた。
事件を起こした当時、妻とは別に理容師や飲食店店員など愛人がいた。
指名手配された日、西口彰は競艇レースにでかけ、野球を見ていたりしていたが、夕刊で自分が指名手配されていることを知り逃亡を図る。
西口彰は偽名を使い、大学教授や弁護士だと偽りながら、次々と場所を変え逃亡していく。
そして、静岡県浜松市にたどり着き、2泊した西口彰はこの旅館の女将と親密になり、外出先から帰ってきた女将と母親の命を奪い逃亡。
その後、福島県のとある弁護士事務所にて弁護士バッチを奪い、弁護士を装い、北海道や東京などで弁護料を搾取し、東京でも検事出身で弁護士だった男性を手にかけ、男性の顧客からも現金を搾取。
次々と犯罪に手を染め、現金や金品を奪いながら逃亡を続けていった。
その後、西口彰は全国を逃亡しながら九州にたどり着く。
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西口彰事件!~狙われた古川家と逮捕までの恐怖の一夜~
1964年1月。
福岡で起こった「福岡事件」の支援活動をしていた、古川泰龍さんに弁護士を名乗り活動への協力を申し出る。
実は、西口彰は、昔起こした詐欺事件で福岡刑務所に服役していたときに古川さんの顔を覚えていた。
古川さんは、佐賀県の住職であり、福岡刑務所内で印刷された自身の布教の機関紙を受刑者が持ち帰ってしまい、反則とされる出来事があった、
この時に古川さんが福岡刑務所に出入りしていたことを西口彰は知っており、顔を覚えていたのだった。
西口彰の正体を知らないまま、古川さんは西口彰の申し出に感激し、自宅に招いた。
自宅には、古川さんの妻、そして娘が2人いた。
当時11歳だった古川るり子さんは、父が連れてきたお客さんを2階に案内するように言いつけられる。
しかし、この時古川るり子さんはこの男が指名手配されている「西口彰」だということに気づく。
実は、古川るり子さんの同級生が西口彰と名前が一文字違いであったことから、ポスターを見て覚えていたのだ。
古川るり子さんは、再び外に走り出て、指名手配のポスターを確認しに行く。
「家に来たのは、この男だ…」
確信した、古川るり子さんは自宅に戻り、父・泰龍さんに「あの男、指名手配されている西口だ」と訴える。
しかし、泰龍さんは「失礼だぞ、お客さんにむかって」と信じずに、るり子さんを叱った。
ところが、妻の美智子さんも自宅に訪れた西口彰と会話している時、ふと違和感を感じていた。
それは、いつも顔の右側を見せないように話すのだ。
妻・美智子さんは西口の右側に「寒いから」と火鉢を置いたが、右側を見せないためなのか西口彰は左側に置き換えてしまう。
しかし、その時がうっかりと飲んでいたお猪口を落とし、とっさに西口彰の右側の顔が見え、あざがあることを発見する。
美智子さんは、るり子さんの姉・愛子さんに交番に行くように告げ、西口彰の手配書を確認させた。
すると、そこには「右側顔にあざがある」という特徴が記されていた。
夜になり、美智子さんは夫に「あの男は西口だ」とあざのことも告げる。
古川泰龍さんは、夜家族を集め「今西口を外に出せば何をするかわからないから今夜は自宅に泊める」と家族に告げたのだった。
もちろん家族は、自分たちが危ないと訴える。
しかし、どちらにしろ今警察に行けば家族が危ない。
何も知らないふりをして、西口が寝たところで警察を呼びに走る。
それまでの我慢だ。と告げる。
古川泰龍さんは、西口彰がいる2階に行き、帰ろうとしていた西口彰に今夜はここに泊まるようにと勧め、西口彰はその夜泊まることにした。
西口彰が寝てから、美智子さんと愛子さんが警察所に行った。
しかし、警察は西口彰は東京に潜伏していると思っており、半信半疑だった。
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明け方4時、刑事が古川家を訪れ、刑事は古川家にあるお願いをした。
それは、西口が起きたら一緒に銭湯に行き、決定的な特徴である右胸にある傷跡を確認したいという。
もちろん、警察も客を装って同行する。
古川さんは、「冗談じゃない」と断ったが、結局承知し行くことになった。
翌朝、西口彰が起き、さりげない美智子さんの勧めにより銭湯に向かった。
しかし、一緒に入った古川泰龍さんだが、西口彰は右側を見せないように手ぬぐいをかけており、傷跡を確かめることができない。
古川さんは背中を流しましょうと、かけてあった手ぬぐいをさっと取ったが、西口彰は胸の傷跡を見えないように腕組をして隠していた。
その時、西口と目があった古川さんは、西口の視線に震え上がったという。
銭湯に行ったあと、自分のことを知られたと勘付いた西口はさっさと2階にあがっていった。
古川さんは、西口がすぐに発つことをとっさに感じ、警察に連絡。
こうしてようやく西口彰は逮捕されたのだった。
逮捕された西口彰は古川一家を襲い金品を奪い、その後は沖縄に逃亡する計画だったという。
まさに危機一髪の出来事だった。
西口彰事件の真相!少女るり子に送った手紙が怖すぎる!
逮捕から5年捕まった西口彰はその後、逮捕のきっかけとなった古川るり子さんに手紙を送っています。
その手紙の内容は…
「その折は大変迷惑をおかけし、まことに申し訳ございませんでした」
「るり子さんも高校生に成長なさて、朗らかに、毎日元気にお過ごしのこととうかがっております」
「決して皮肉ではございません」
「できたら今後、るり子さんと文通をしたいと思いますが、唯「こはい人」と言った感じだけを残しているのかもしれませんネ」
という内容と共に、押し花が添えてあったそうです。
怖すぎる…。
これは一体どんな心情だったのでしょうか。
自分を見つけ当てた古川るり子さんへの皮肉とも取れる手紙なのか。
それとも、今まで数々の大人を欺いてきたのに人目でそれを見破ったるり子さんへの賞賛なのか…。
もちろん、その後るり子さんは文通などは一切していません。
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西口彰を犯人だと見破った少女古川るり子さんの現在も玉名市に住んでいる?
当時、西川彰を見破ったるり子さん。
実家は熊本県玉名市でした。
あれから、53年、現在古川るり子さんは64~65歳です。
2014年にフジテレビの「Mr.サンデー」にこの事件について取り上げられた時に、姉の愛子さんがテレビに出演し西口が泊まった部屋を案内していました。
るり子さん自身は登場されなかったですが、現在も地元の熊本県玉名市に住んでいるのではないかと思われます。
一躍犯人を見つけた、少女として世間から注目を浴びましたが、ご本人たちからすると物凄く恐怖の一夜だったと思われますので、静かに暮らしたいと思われているのではないでしょうか。
西口彰と妻や子供のその後
西口彰は犯行当時妻、そして子供が3人いました。
凶悪犯の家族として、事件後は世間からも隠れるように暮らしていたことと思われます。
長男にいたっては、事件のこともあり、かなりグレた時期もあったようですが、西口彰が獄中から息子に「自分のようになるなと」20通にも及ぶ手紙を送り続けたそう。
その後長男は構成し、結婚したそうです。
西口彰の獄中点字翻訳で大学生が地方議員に
西口彰は獄中の中で「点字翻訳」のボランティアに励んでいました。
ペンフレンドであった女子大生からの依頼で、卒論の哲学書を点字訳に翻訳。
実はこの時に西口彰が点訳した哲学書により、卒論を書き上げ早稲田大学を卒業した男子学生がいるそうです。
この学生は、その後地方議員となり活躍しているそうです。
もちろん地方議員になったのはその学生の力ですが、西口彰が唯一誰かの力になった出来事なのではないでしょうか。
おわりに
今回は西口彰事件について取り上げました。
この事件は東京オリンピックにより交通網が急速に発達し、便利になったがゆえ警察の捜査の手が追いつかなかったとも言われています。
るり子さんに手紙を送るあたりなんかはもはや恐怖としか言えません。
人間が一番恐ろしい。そう思わせるような事件でした。
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