「砂の器」「黒革の手帖」など数々の名作を生み出してきた松本清張先生の最高傑作とも言われる小説「点と線」
テレビ朝日60周年を記念して、ビートたけしさんが主演を務め映像化されたドラマ版が再編集し特別版として放送されます。
今回は「点と線」のネタバレあらすじをざっくりと簡単に解説していきます。
冒頭からがっつりネタバレしていきますので、知りたくない方はご注意ください。
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点と線ネタバレあらすじ【不審な死】
福岡県・香椎海岸にて男女の遺体が発見されます。
・佐山憲一(大浦龍宇一):産業建設省の課長補佐。汚職事件のキーマンとして警察がマークしていた。
・桑山秀子(原沙知絵):東京の老舗料亭・小雪の仲居。お時と呼ばれている。
海岸にて、青酸カリの入ったジュース瓶が転がっていたため、捜査係長らは「心中」と判断しますが、ベテラン刑事・鳥飼重太郎(ビートたけし)の見解は違いました。
やがて、お時の同僚仲居二人が佐山とお時が、仲良さげに九州方面行き特急「あさかぜ」に乗り込むところを目撃したと証言します。
仲居二人は店の常連客・安田辰郎(柳葉敏郎)に食事に誘われた帰り、鎌倉の妻の元へと向かう安田を列車のホームまで見送りに来た時に、二人の姿を目撃したというのです。
13番線ホーム(仲居+安田)|14番線ホーム|15番線ホーム(佐山+お時)あさかぜ
しかし、14番線には列車が入ってくるため、仲居と安田たちがいた13番線ホームから、15番線を見通せるのは、1日のうちにたった4分間だけ。
空白の4分間の推理が始まります。
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犯人のトリック
結論から言うと‥
ズバリ犯人は「安田(柳葉敏郎)」です。
安田にはアリバイがありましたが、それは安田が仕掛けたトリックでした。
<アリバイ①>
東京・上野⇒北海道・札幌に電車+船で向かったと乗船名簿にサインがあった。
⇒佐山の部下を使い、乗船したかのように偽造。
<アリバイ②>
飛行機で東京⇒福岡への渡航記録がない。
⇒他の名前を借りて、搭乗して福岡へ行っていた。
<特急「あせかぜ」での目撃証言>
・佐山は料亭に行ったことはなかったが、安田からお時を紹介され知っていた。
・佐山とお時は恋仲ではなかったが、印象づける必要があった。
・二人は一緒にでかけたわけではなく、引き合わされ、顔見知りであったため、普通に話しながら列車に乗った。
⇒二人が顔見知りであることを知らない仲居たちからすると、親しげであったため恋仲に見えた。
そしてもうひとり、安田には共犯者がいました。
それは、安田の妻・亮子でした。
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【犯行まとめ】
佐山とお時は同じ現場で発見されましたが、実は別々の場所で命を奪われていました。
■佐山の命を奪ったのは「妻・亮子」
汚職事件のキーマンとされ警察から関心を持たれていた佐山は、汚職事件の主犯・石田から疎まれていました。
しばらく身を隠すよう言われ福岡へ向かった佐山は、安田の代理として妻・亮子から呼び出されます。
亮子は、佐山が逮捕されることはないと安心させた後、青酸カリ入りのウイスキーを飲まされ命を奪ったのでした。
■お時の命を奪ったのは「安田」
安田は福岡にてお時に会い、青酸カリ入りのウイスキーを飲ませ命を奪います。
それぞれの場所で、二人の命を奪い、密着させて並べることで男女の心中と思わせる工作だったのです。
現場に残した、青酸カリジュースの瓶ボトルも亮子が用意したものでした。
【動機】
安田とお時は、不倫関係にありました。
妻・亮子は病気を患っていたため、安田の相手をできない負い目から二人の関係を公認していました。
安田は、世間を騒がせている汚職事件の主犯・石田にとって邪魔な存在・佐山の命を奪うことで、石田に恩を売り、自身の出世を目論んでいました。
しかし、佐山だけ自殺に見せかけて命を奪っても動機が見当たらないと疑われる可能性があったため、飽きてきたお時を使い、男女の心中と見せかけたのです。
事件に加担した亮子は、愛人であるお時に対し、許せない気持ちを心の底に抱えていたため犯行を実行したのでした。
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【結末】
安田に逮捕状が出たものの、安田夫妻は青酸カリを服毒し自ら命を絶ってしまいます。
しかし、亮子には遺書があったものの、安田にはありませんでした。
罪の意識を感じて‥と書かれていましたが、この先長くないと知った亮子が、安田を道連れにしたのかもしれません。
(おわり)
点と線【感想】
そもそも、佐山とお時は愛人関係にないものの、二人が密着して発見されたことから、二人が男女の仲だったと、刑事たち同様にだまされてしまいました。
かなり緻密に仕掛けられたトリック、そして安田の完璧なアリバイが崩れ行く様は、圧巻!
安田の巧妙なトリックが暴かれたものの、亮子によって命を奪われた可能性を匂わせる結末に鳥肌ものでした。
自身の出世のためだけに、お時を利用した安田への神様からの制裁だったかのもしれません。
しかも、石田に恩を売るために犯行を実行した安田でしたが、本人は亡くなり、石田は罪に問われることなく出世する‥というなんとも皮肉なラストでした。
原作小説は、今からもう61年前に発表された作品ですが、今でも色褪せることなく、楽しむことができます。
やっぱり松本清張はすごい‥!
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