Paperback

本のようにじっくり読みたい! 掘り下げて知りたい情報をお届けする深読み型ウェブマガジン

ドラマ

陸王あらすじネタバレ最終回結末を原作から!奮闘するこはぜ屋,茂木の姿に心揺さぶられる感動作!

投稿日:10月 15, 2017 更新日:

TBS日曜劇場枠でスタートした新ドラマ「陸王」

「半沢直樹」「下町ロケット」「民王」など数々の名作を世に送り出している池井戸潤さんの同名小説が原作です。

創業100年の歴史を持つ老舗足袋業者が廃れていく時代の中、生き残りをかけランニングシューズの開発に挑むというストーリー。

足袋業界がランニングシューズを開発というニッチな題材ですが、ドラマ化されるにあたり、さっそく原作小説を読んでみた所、続きが気になって…ページをめくる手が止まらない!

池井戸潤さんの作品、これまで何冊も読んできましたが、今回の「陸王」も非常に読み応えがあり、一気に陸王の世界に引き込まれてしまいました。

今回は、原作小説「陸王」のネタバレあらすじを結末までをまとめてみました。ラストまでネタバレしていますので、結末を知りたくない方はご注意下さい。

スポンサーリンク


陸王ネタバレあらすじ【始まり】

埼玉県行田市にある足袋製造業会社「こはぜ屋」はパート、正社員を含め27名の小所帯ながらも100年の歴史を持つ老舗企業。

しかし、時代の移り変わりから足袋の需要は年々縮小傾向。「こはぜ屋」の4代目社長・宮沢紘一(役所広司)も頭を悩ませていた。

メーンバンクである埼玉中央銀行・行田支店融資担当の坂本太郎(風間俊介)からも今の経営状況ではいずれ融資ができなくなると言われ、新事業検討を進められる。坂本は一生懸命手を尽くしてくれる熱い銀行員であり、こはぜ屋の行く末を心配していた。

新事業といっても何をすればいいのかわからない宮沢。これまでも同業者が新たな事業に手を出し次々と倒産してきたのを目にしてきた。足袋は無くなることはないと自負してきたが、この先も衰退していく一方だろう。

そんな中、大口取り引き先の百貨店の和装売り場が縮小されることになったと告げられ、こはぜ屋は益々厳しい状況になることが予想された。

百貨店から報告を受けた後、宮沢は娘・茜(上白石萌音)に頼まれた靴を買いに、シューズ売り場に立ち寄るとファイブフィンガーシューズという5本指のランニングシューズが売られているのを見つける。

見慣れないそのシューズは、地面を掴み裸足感覚で走れると、人気商品だという。

裸足感覚という点は、地下足袋も同じだ。宮沢はファイブフィンガーシューズをヒントに、足袋の技術を生かしたランニングシューズを開発することを思いついたのだった。

【陸王チームの発足】

さっそく動き出した宮沢は、スポーツ用品店を営みランニングインストラクターの資格を持つ有村融(光石研)を、坂本から紹介してもらい相談に行く。

有村は協力的で「人間本来の走り方」について説明を始めた。

従来のような踵にソール(靴底)があるシューズでは、踵から着地し、つま先で蹴るという走り方になる。実はこれは良い走り方でなく、足を故障しやすい。

足裏中央付近で着地する「ミッドフット」あるいは、足の先の方で着地する「フォアフット」が人間本来の走り方なのだという。

メキシコに住むタラウマラという部族は、1日に何十キロも走り、時には何日もかけてウルトラマラソン級の距離を走るとういう驚異的な足の持ち主。

タラウマラ族をアメリカのウルトラマラソンに出場させてみたところ、欧米人の一流ランナー並の早さで完走したという。しかし、彼らは特別なシューズを履いているわけでもなく、ビーチサンダルのような粗末な履物を素足で履き長距離を走る。

彼らの走り方はミッドフット、あるいはフォアフットだからこそ、簡素な履物でも早いスピードで長距離でも完走できたという。

つまり、正しい走り方を身につけられるようなシューズを履くことは大事だ。地下足袋も底が薄く平らであることから、良いランニングシューズを作れる可能性があると有村は言った。

有村から話しを聞いた宮沢は地下足袋の可能性を感じ、さっそく開発チームを発足させた。

・係長:安田利充(内村遥)

・縫製課リーダー:正岡あけみ(阿川佐和子)

・埼玉中央銀行・行田支店行員・坂本太郎(風間俊介)※オブザーバー

本来であれば、息子・大地(山崎賢人)もメンバーに入れたかった。大地は就職活動に失敗し、嫌々ながらこはぜ屋で働いている様子だ。転職活動をしながら腰掛け社員のように働いているため、仕事のミスも多い。

新事業で大地が変わるきっかけになれば…と思い声をかけたが、大地は「足袋屋がランニングシューズを作っても売れやしない」と批判的で、メンバーには加わらなかった。

こうして発足されたチームでミーティングを行い「ケガや故障をしにくい、ミッドフット着地が実現できるシューズ」をコンセプトに、商品名「陸王」の開発をすることに決まった。

スポンサーリンク


【陸王試作品が完成

二週間後、さっそく「陸王」試作品第1号が製造された。

紺色に白いトンボ模様を絡ませたデザイン。白いトンボは勝虫(かちむし)といい、演技がいいとされ、こはぜ屋の足袋の定番だ。

ソール(靴底)には、地下足袋で使う生ゴムを貼り付けた。

また、こはぜ屋に出入りしている椋鳩通運のセールスドライバー江幡晃平(天野義久)にも協力してもらうことになった。江幡は高校時代、有名なランナーだった。

宮沢は試作品第1号を履きさっそく走ってみる。しかし、生ゴムのソールは足への衝撃が強い。さらに、足袋ならではの2股になっている部分に痛みを感じる。

これで走り続けるなんて到底無理だ…。江幡も同じ意見だった。

そこで、足袋の特徴である2股の部分を、従来のシューズのように先を丸めてなくし、履き心地やソールの耐久性など何度も改良を加えた。

こうして、第1号よりも格段に良くなった第2号「陸王」の試作品が製造された。

江幡からも「これならいけると思う」とお墨付きをもらい、宮沢は有村に意見をもらいにショップを訪れた。

しかし、陸王を履いて走ってみた有村からはソール(靴底)の耐久性が弱いことを理由に、ランニングシューズとして売り出すのは難しいと言われる。

そこで、まずはランニングシューズではなく、初心者や故障者向けにミッドフッド着地が身につく矯正用シューズとして売り出してみてはどうかと提案される。

しかし、その後どう進めていいかのかわからない宮沢。

すると、有村からある程度名の知れたランナーの練習用として履いてもらい、フィードバックをもらいながら改善して注目を集めていけばいいかもしれないとアドバイスをもらう。

有村は、ダイワ食品陸上競技部の茂木裕人(竹内涼真)の名前を挙げた。茂木は箱根駅伝で活躍した有名ランナーだったが、足を故障し走法にも悩んでいるため適任かもしれないという。

残念ながら有村は茂木と接点はないということで、宮沢は直接ダイワ食品を訪ねることにした。後日、宮沢はダイワ食品陸上競技部の監督・城戸明宏(音尾琢真)に会い、陸王を茂木に試してもらいたいとお願いする。

しかし、ダイワ食品には既に大手スポーツメーカー・アトランティスが部員のシューズの面倒を見ているため、陸王には全く興味を示さなかった。

スポンサーリンク


【ソールという壁】

しばらくして、有村の紹介により陸王に興味を持った光誠学園を訪れた宮沢。

陸王について説明し、2週間後保護者へのプレゼンまでこぎつけた。保護者の反応も良く、手応えを感じ、これは採用されると陸王メンバーも浮かれていた。

しかし数日後、光誠学園から告げられたのは「不採用」だった。採用されたのはアトランティスのシューズだった。

アトランティスが新たに開発したソールを使ったシューズということで光誠学園はそちらに決めたのだった。またこはぜ屋には実績がないというのも断られた原因だった。

ようやく見えた一筋の光も一瞬で消えてしまった。

光誠学園のコンペを終えて、宮沢は今陸王が超えなければいけない壁は「実績」と「ソールの改善」だと考えていた。

足袋のソールは、基本的には布である。耐久性のため陸王のソールは生ゴムを導入したが、アトランティスが新開発したソールには勝てなかった。

冷静に考えてみればソールが生ゴムでも良ければ、アトランティスはわざわざ莫大な資金をかけて新ソールを開発しない。

アスファルトを走る以上は地面の衝撃を吸収するソールは必要不可欠だ。しかしこはぜ屋が新たなソールを開発するほど、資金も知識もない。

しかし、しばらくして転機が訪れる。

光誠学園の兄弟校である、町村学園の体育の授業で足袋を使うことになったため、こはぜ屋に依頼が舞い込んできた。

従来の足袋の依頼だったが、陸王のサンプルを見せ説明し、陸王が採用されたのだった。陸王が初めて売れ、メンバーもこはぜ屋で働く従業員たちも喜んだ。

しかし、子どもたちがグラウンドで走るくらいなら陸王でも適しているが、長距離を走るランニングシューズとなるとやはりソールの問題を乗り越えなければいけない。

宮沢は茂木に履いてもらいたいと思っていたが連絡はなかった。

【茂木の苦悩】

ダイワ食品陸上競技部に所属する茂木裕人は、大学1年の時から箱根駅伝に出場し、最もきつい第5区のランナーとして活躍した。

箱根駅伝では、他校のランナー毛塚直之(佐野岳)と第5区でデットヒートを繰り広げてきた。しかし、茂木は大学最後の箱根駅伝で毛塚との勝負に破れてしまった。

大学を卒業した茂木はダイワ食品へ入社し、毛塚はアジア工業へと入社した。

もう一度毛塚と闘いたい。しかし、実業団ランナーとして毛塚との勝負に挑んだ京浜国際マラソンで茂木は足を故障してしまい毛塚と圧倒的に差がついてしまっていた。

ダイワ食品では、アトランティスがほぼ専属のような形で選手のシューズの面倒を見ていた。

アトランティスのシューフィッターの村野尊彦(市川右團次)は、ランニングシューズ業界のカリスマ的存在。幅広い知識を兼ね揃えながらもランナーひとり一人、親身に対応する姿から、選手からも絶大な信頼を寄せられていた。

茂木も村野のことを尊敬し慕っていた。

しかし、村野の上司でアトランティスの営業部長・小原賢治(ピエール瀧)は利益至上主義の冷徹な男であり、足を故障し競技に出られなくなった茂木に用無しとばかりに態度を変えた。

村野は小原に抗議するが聞いてもらえず、以前からアトランティスの方針に不満を持っていた村野はアトランティスを退職した。

茂木は、小原からサポート打ち切り同然の宣告をされたこともあり、これまで履いていたアトランティスのシューズを履くのをやめた。

スポンサーリンク


【シルクレイとの出会い】

光誠学園へ陸王を生産する傍ら、宮沢はソールの改善に模索していた。

そんな中、坂本から「シルクレイ」という繭で作られた素材を渡される。今まで見たことも手にしたこともない不思議な弾力性のある素材に驚く宮沢。

シルクレイは天然成分の繭を使用し、強靭ながらも軽く、成形も簡単。くず繭を使えば安く量産することができる。これならソールにピッタリかもしれない。

しかし、このシルクレイを開発した会社は不渡りを起こして既に倒産していた。

坂本は手を尽くし行方がわからなくなっていた開発者・飯山晴之(寺尾聰)の居場所を突き止め、やがて宮沢はシルクレイを陸王に使用したいと商談に行った。

しかし、初めて会った飯山はすさんだ様子で年間5000万円の使用料を要求。シルクレイの使用料で一発逆転再起を狙っている金の亡者のような様子が垣間見えた。

今の陸王に年間5000万円を払い勝負に出る余力は到底なく、飯山も信頼できる男なのかわからない…。結局商談は失敗に終わった。

ふと、宮沢は長年こはぜ屋で働いてくれている冨久子(正司照枝)に相談。冨久子さんは飯山にこはぜ屋を見てもらったらとアドバイスをする。同じ工場経営者であった者同士、頑張って奮闘する姿を見てもらえば飯山の心も少しは動くかもしれない。

宮沢は、飯山に連絡した。最初は渋った飯山だったが説得を続け、やがてこはぜ屋の工場へ訪れた。

あいからわずな態度の飯山だったが、工場を見た後、今一度宮沢は自分の思いを伝えた。飯山も工場を見て思うところがあったのだろう。陸王プロジェクトに参加することを条件にシルクレイの特許使用を認めたのだった。

こうして飯山が所持していたシルクレイ製造機を使用し、技術顧問として飯山を雇いシルクレイの製造が始められることになった。

【新陸王の誕生】

飯山のサポートには大地を付かせ、まずは陸王に適したシルクレイのサンプルの開発が始められた。しかし、なかなかうまくいかず、もしかしてこのまま作ることができないのではないかと宮沢自身も不安になっていた。

その一方で、シルクレイが出来上がったとしてもソール用に形成をしなければいけない。ソールの知識がない宮沢は有村を訪ねた。

そこで、偶然有村の店に訪れていた元アトランティスの村野と出会う。村野は、宮沢が持ってきたシルクレイの素材に興味を持った。

宮沢が陸王開発の話しをすると村野は興味を持ち、こうして村野が陸王プロジェクトに参加することになった。

飯山は毎晩遅くまでサンプル作りに励み、最初は投げやりだった大地も、懸命に取り組む飯山の姿に心動かされていった。

そして試行錯誤の末、ようやく陸王用に改良したシルクレイのサンプル品が出来上がる。

村野のアドバイスを取り入れ、何度も試行錯誤を重ねた結果、ようやくシルクレイをソールに使用した新たな「新陸王」が完成。

第1号は茂木モデルとして作られた。

後日、村野から茂木に「新陸王」が手渡された。信頼している村野の要望を快く受け入れ、茂木が陸王に足を通す。

「すごいこれ。むちゃくちゃ軽い。」

茂木の表情に笑顔が広がる。宮沢の夢がひとつ叶った瞬間だった。

スポンサーリンク


【逆転の発想】

茂木に陸王を履いてもらい、フィードバックをもらうことで改善を重ね完璧なシューズに仕上げていく。

陸王を茂木に選んでもらえれば、商品化や量産化への道が一気に開ける。そう期待していた宮沢だが、同時に完璧なシューズになるまでは何ヶ月もかかるという現実に直面した。

しかし、こはぜ屋にはこれ以上、陸王開発に投資し続ける資金力がない。宮沢は頭を抱えた。

そんな中、宮沢はふとあることに気づく。

「陸王開発にあたって得た新たな技術を、これまでの足袋の技術に活かせられないか…」

今まで生ゴムを使用していた地下足袋のソールをシルクレイに変え、これまでよりも軽くて丈夫にする。値段設定を高めにするが、他メーカーと差別化できれば売れるだろう。

こうしてシルクレイを使用した新たな地下足袋「足軽大将」が完成した。強気の値段で販売したが、これまでにない売れ行きであっという間に完売。

これはヒット商品になる。この勢いに乗り、足軽大将の量産化を進め、こはぜ屋の業績は急回復した。

【課題】

新陸王については、茂木から村野へフィードバックされ、細かく調整していった。そんな中、アッパー部分の素材の改善が求められた。

今のままでも薄くで軽いが、今ひとつ安定感に欠けるものだという。軽くて、保湿性、通気性に耐久性を持つ素材となると、入手するのは困難だ。

村野から紹介してもらい、アッパー用の素材を卸している繊維業者を訪ねてみたが、大口取引ができないこはぜ屋は門前払いだった。

やがて、坂本の後任である大橋浩(馬場徹)という銀行員から「タチバナラッセル」という繊維メーカーのベンチャー企業を紹介された。

さっそく宮沢はタチバナラッセルを訪ねると、快くこはぜ屋の希望を受け入れてくれ、アッパー部分の課題もなんとかクリアすることができた。

タチバナラッセルから調達したアッパーを使用し、何度も改良を重ね、茂木、村野からもお墨付きをもらった。

いよいよ新陸王、量産へと踏み出した。

スポンサーリンク


【アトランティスの策略】

茂木は足の故障も克服し、順調な回復を見せていた。

小原の部下・佐山淳司(小籔千豊)は茂木の復活ぶりを知り、もう一度アトランティスのシューズを履かないかと誘う。最近、別の有力選手もこはぜ屋のシューズを履いていることが気に食わない佐山。

そして、こはぜ屋の財務内容が書かれた資料を茂木に渡し、潰れそうな企業が作っているシューズで君を支え続けるのは無理だと、アトランティスの新シューズ「RⅡ」を渡した。

練習を終えた茂木はこはぜ屋の財務資料が気になり手にした。それは想像を下回る内容であった。

茂木は、決して良い経営状況とは言えないこはぜ屋にサポートしてもらっていることは、負担になっているのではないかと心配になり、村野に相談した。

村野は、包み隠さず話し、自分がこはぜ屋で働く意味について語った。

規模は小さくともランナーのためになけなしの予算でも必死に作っていく。アトランティスにはない、ランナーのためのシューズを作るこはぜ屋の心意気に共感していると正直な思いを伝えた。

そして、もし茂木がアトランティスのシューズを履きたければ、それでもいい、自分が一番いいと思うシューズを履けばいいと村野は言った。

【茂木の決意】

有村の店や、紹介してもらったプロ向けの店などに新陸王を置いてもらったがイマイチ伸び悩んでいた。

そんな中、宮沢は茂木の練習を見にダイワ食品を訪れた。茂木の足元を見ると陸王ではなく、アトランティスのシューズを履いていた。

村野からもしかしたら、茂木はアトランティスのシューズを履くかもしれないと聞いていたがいざ目にするとショックだった。これまで、積み上げてきたものが一気に崩壊したような気になった。

宮沢の中では、いつしか「陸王=茂木」の構図ができあがっており、挫折した選手が陸王を履いて復活する。そんなシナリオをいつしか描いていた。

やがて、全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)に茂木も選ばれ、6区を走ることとなった。このレースでいい走りを見せれば一気に注目度が集まる。

宮沢は、レース前に茂木に連絡し、こはぜ屋からの応援の寄せ書きと、特別に編んだ靴紐を渡した。

そして、陸王を必ずしも履いてくれなくても、他のシューズを選んでも応援する。陸王開発にあたって色んな人の力を借りて、得た素晴らしさを改めて感じ、純粋な気持ちで茂木を応援したいと話したのだった。

茂木は、宮沢の思いを受け取り純粋に嬉しかった。そして応援してくれる人のため悔いのない走りをすると心に誓ったのだった。

スポンサーリンク


【ニューイヤー駅伝】

いよいよニューイヤー駅伝の日。世間が注目するのは、茂木と同じく第6区を走る毛塚。

毛塚が履くのはアトランティスのシューズ「RⅡ」

そして茂木は…「陸王」を履いて登場した。

応援に駆けつけたこはぜ屋応援団も歓喜した。その様子を見たアトランティスの小原、佐山は面白くなかった。

いよいよレースがスタート。ダイワ食品は苦戦し、8位で茂木へとタスキが渡された。

茂木はどんどん先行く選手を抜いていき、4位ライバル毛塚の後ろ姿を捉えた。そして接戦を繰り広げ、風を味方につけた茂木は毛塚を抜いた。

さらに6区ゴール近くで3位の選手を抜き、次の選手へとタスキを渡した。まさに勝利とも言える走りを見せたのだった。

一度は足の故障し挫折した茂木が完全復活を遂げた試合。これは宮沢たち陸王にとっても勝利を意味し、こはぜ屋にとって大きな第1歩となった。

しかし、この結果を面白く思わない小原は佐山に「陸王を潰せ」と命じた。

【こはぜ屋の新たな試練】

茂木の活躍により陸王の受注も増えるのではないかと期待していた宮沢たちだが、世間では毛塚の不調が取り上げられ、茂木の活躍には注目されることはなかった。

レース後、アトランティスの佐山はこはぜ屋を潰すべく、陸王にアッパー素材を提供しているタチバナラッセルに接触し、アトランティスと専属契約を結ばせた。こうして、こはぜ屋へのアッパー素材への提供を潰したのだった

タチバナラッセルは創立3年目のベンチャー企業。ここで大口取引となるアトランティスへの素材供給はいっきに上場できるチャンスでもある。タチバナラッセルの社長・橘も悩んだ末、アトランティスとの契約を結んだのだった。

こうして、陸王はようやく手にしたアッパー素材を失ってしまった。

さらに、陸王にピンチが訪れる。

陸王のソールの素材であるシルクレイを製造している機械がついに故障。新たなシルクレイ製造機を作るとなれば、1億の資金と機械製造に3ヶ月はかかる。

ダメ元で埼玉中央銀行の支店長・家長亨(桂雀々)に融資の相談をするが、取り合ってもらえなかった。

こはぜ屋は窮地に追い込まれていた。

シューズが作れないとなると、茂木へのサポートもできない。

村野は「京浜国際マラソン」に出場するという茂木にシューズの供給ができなくなるかもしれない、今から京浜国際マラソンで履くシューズを考え直した方がいいと助言した。

茂木はひどく落胆した。

スポンサーリンク


【飯山の思い】

そんな中、埼玉中央銀行を退職し投資企業に転職した坂本がこはぜ屋のピンチを知り「会社を売らないか」と持ちかけてくる。

買収といっても、会社そのものを売るものではなく資本を受け入れることにより、これまでの事業や、社長続投できるケースもあるという。

こはぜ屋買収に興味を持っているのはアメリカに本社を置き、アウトドア関連のアパレル商品を展開している新興企業「フェリックス」。

アメリカに本社があるが、日本人の御園丈治という若き社長が経営する会社だ。

創業してまだ歴史の浅い企業に、100年の歴史を持つこはぜ屋が買収されるなんて…宮沢は乗る気ではなかったが、どちらにしてもピンチであることは変わりない。一度、御園と会うことにした。

宮沢は乗る気ではなかったが、御園自身も会社を潰し苦労した過去を聞き、気取った社長でないことが見受けられた。

そして自身のことを話した後、御園は単刀直入にシルクレイの技術が欲しく買収したいと切り出した。フェリックスで生産している、アウトドア用シューズ等にシルクレイの素材を使って他競合と差別化を図りたいというものだった。

シルクレイの存在を知ってから、自社で製造するよう命じたが開発には膨大な時間もコストもかかる。それあれば技術を買うしかないという結論に至ったということだった。

御園はどこから聞きつけたのかシルクレイの機械の故障のことも知っており、もし買収を受け入れるのであれば、設備投資のための数億円の投資をすると言った。

御園との会食を終え、自宅に戻った宮沢。

すると、大地からアッパー素材を提供してくれる会社が見つかったと知らされる。大地はいくつもの企業を回って奔走し見つけたのだった。いい加減に仕事をしていた大地も、飯山や宮沢たちが陸王開発に奮闘する姿を見て、いつしか気持ちが変わっていた。

新たなアッパー素材も見つかった。今、陸王の製造を継続するためにはフェリックスの買収提案を受ける以外道はないのかもしれない…。

100年ののれんを守ることよりも生き残ることが大事だ。宮沢はフェリックスの買収を受け入れることを前向きに考え始めていた。

すると坂本から、思いもよらないことを聞く。

御園は宮沢に会う前、シルクレイの特許を持つ飯山と接触し、シルクレイの特許を買い取りたいと持ちかけていた。しかし、飯山は「こはぜ屋に世話になっている以上特許は売れないと」申し出を断ったという。

フェリックスから好条件での買い取りの話があったはずだ。しかし、飯山はそれを断ったと知り宮沢は胸が熱くなった。

その話しを聞いた、宮沢は飯山を誘って出かける。

そして、飯山が特許を売らず、こはぜ屋にチャンスをくれた心遣いを無駄にしたくないとフェエリックスの買収提案を受け入れるつもりであることを話した。

飯山も同意してくれると思った。しかし飯山は予想外の言葉を発した。

「あんたバカか」

シルクレイの製造許可はこはぜ屋だけに許した。シルクレイのソールを製造できる業者は他にはいない。御園の狙いは、こはぜ屋だけが持っている「権利」だ。

その言葉に宮沢はハッとした。

スポンサーリンク


【転機】

フェリックスに買収されることで今の窮地を乗り越えることはできるかもしれない。しかし、もしシルクレイに代わる材料が開発された時、こはぜ屋の立ち位置はどうなるだろうか。

足袋の売れ行きも落ちれば、フェリックスにとって重荷になっていると烙印を押され、こはぜ屋は消滅させられてしまう可能性もある。

宮沢は、御園のこれまでの経営について調べ尽くした。その結果、会社に足りないと思うものは、買収し補強していく。時間や成長を金で解決してきたように見えた。

もしこはぜ屋が買収されれば、やがてフェリックスの合理主義の中に吸収されてしてしまうだろう。

フェリックスはこはぜ屋ではなくシルクレイの技術を欲しがっていると改めて気づいた宮沢は、御園に買収ではなく業務提携を持ちかけた。

しかし、御園はこれを受け入れず交渉は決裂した。

フェリックスほどの企業がシルクレイを求めてきた。他にもシルクレイを評価してくれる企業はあるだろう。そう啖呵を切ったのだった。

しかし、その後御園から宮沢に提案があると連絡が入った。

それは…

・こはぜ屋にフェリックス生産計画のための3億円融資する、返済は5年。

・3年間のフェリックスからの発注保証をつける

というものだった。

3年間はフェリックス向けの商売でも返済できる。しかし、その後の発注については3年間の実績に基づいて判断される。最悪の場合打ち切りになる可能性もある。

もし3年間で融資された資金が返済出来ない場合は、融資の残金をそのまま資本として受け入れフェリックスの子会社となるというものだった。

うまくいけばこはぜ屋を成長させるチャンスでもあるが、失敗すればこはぜ屋は消滅してしまう。

宮沢は社員を集め、フェリックスからの提案を説明した。縫製課のスタッフも社員も激しく動揺した。

でも今のままでは何も変わらない…するとあけみさんが「やってやろうじゃない!私達頑張るからさ」と立ち上がり、他の縫製課のメンバーも拍手した。

「こはぜ屋ののれん皆で守ろうじゃない!負けるもんか!」

宮沢は皆の心意気に胸を熱くしこみ上げてくるものを押さえられなかった。絶対に守ってみせる。こはぜ屋ののれんを。宮沢はそう強く決意を新たにした。

スポンサーリンク


【希望のレース:陸王・茂木に待ち受ける運命とは】

やがて迎えた京浜国際マラソン。

2年前の京浜国際マラソンで茂木は足を故障した。この大会に復帰するまでに多くの挫折や苦労があった。走れないと分かった茂木から手のひらを返したように離れていくものもいた。

まさに絶望と孤独のどん底だった。しかしその中でわかったことがある。「走ることは人生そのもの。」そして何よりも自分は走るのが好きだということ。

そしていざレースへと向かった。

茂木がこの試合に選んだシューズは…「陸王」だった。

宮沢たちは茂木が陸王を履いているのを見て喜び、一方のアトランティスの小原、佐山は怒りを隠せなかった。

宮沢は茂木が陸王を選んでくれたこと、茂木の思いに、必ずこはぜ屋を成長させてみせると心に誓った。

茂木、そしてこはぜ屋にとっても人生をかけたレースが始まった。茂木はレースの展開を読み、自身のペースをコントロールしながら走っていく。

こはぜ屋の応援団たちも必死に茂木を応援。

茂木は、外国人先頭集団で占める第1集団の後ろ、第2集団でペースをコントロールし、じっと観察しながら快走を続ける。

やがて同じく第2集団で走っていた、毛塚がペースをあげ、茂木の前にでて距離を離していく。茂木は、第2集団からじっと観察しながら走り続ける。

そして、先頭集団のペースが乱れ始めた後、茂木がいっきに仕掛ける。

「自分のため、そして応援してくれた人のために…」

スピードをあげた茂木は、前方にいた毛塚をいっきに抜き、次々と他の選手も抜いていく。

やがて、茂木は日本人ランナーのトップに立ち見事な走りを見せゴールテープを切ったのだった。

茂木をゴールで待ち構えていた、こはぜ屋も喜びを爆発させた。宮沢はこのゴールが新たなスタートになる。そしてこはぜ屋の新たな挑戦が始まったのだった。

【奮闘の末こはぜ屋に訪れた奇跡】

こはぜ屋はフェリックスからの支援を受け入れ、やがて陸王はトップアスリートたち注目のシューズへと成長した。今後も、多くの選手がこはぜ屋の陸王へと乗り変えていくだろう。

埼玉中央銀行の支店長・家長は偶然訪れたこはぜ屋の変貌ぶりに驚いていた。

こはぜ屋の敷地内に大きな建物が建てられ、新しい巨大な機械が置かれている。建物の中には忙しく働く従業員の姿が見えた。

埼玉中央銀行が融資を拒否した設備投資を実施したことはすぐにわかった。言葉がでない家長は宮沢に声をかけ、設備について聞く。

宮沢はフェリックスとの業務提携をしたことを話し、今までよりも5倍を超える売上を誇る企業に成長したことを話した。家長は驚きを隠せない様子。

「そんな売上金…うちの銀行には入っていないですよね」と言う家長。宮沢は東京中央銀行に口座を開きそちらをメーンバンクにしていくと話した。

「メーンバンクはうちじゃないですか。いくらでも融資させて頂きますよ」

「ありがとうございます。お気持ちは受け取っておきますが結構です」

そういって宮沢は工場へと戻っていった。

(おわり)

スポンサーリンク


陸王ネタバレあらすじ【感想】

いやー最高でした。期待を裏切らない池井戸潤氏の作品。読んでいて胸が熱くなり、何度も涙した小説は久々でした。

時代の移り変わりにより廃れゆく足袋業者「こはぜ屋」が再起をかけ、ランニングシューズという新事業に足を踏み入れます。

しかし、決して順調とはいえず立ちはだかるいくつもの困難に苦しみ、もがき、時に喜び、はたまた裏切られ…何度諦めそうになっても挑戦することをやめず、仲間たちと前に進んでいく。

王道といえば王道なストーリーではあるのですが、どんな困難が立ちはだかろうとも挑戦し少しでも進んでいく姿には心揺さぶられるものがありました。

読んでいていつのまにか自分もこはぜ屋の一員になったかのように感情移入しており、こはぜ屋にピンチが訪れれば苦しく、突破口が見えれば歓喜し、こんなにも読み手側の感情も動かされる作品は滅多にないです。

そして、もう一人の主人公ともいえる茂木選手。足を故障しながらも復活に向けて挑戦していく姿には、何度涙したことか…。動画でもなく小説で懸命に走るシーンを読んで涙したのは初めてです。

ラスト、茂木選手のゴールシーンには、こはぜ屋の応援団と同じく喜び感激の涙が止まりませんでした。

また、足袋業界とマラソンシューズという全く知らなかった世界も丁寧に描かれており、非常にわかりやすく興味深かったです。

エンターテインメントを兼ね揃えた小説ながらも、ニッチな業界を知ることができる作品はなかなかないです。

最後、こはぜ屋はフェリックスの資本を受け、劇的に急成長し、陸王も茂木選手だけでなくプロたちが注目するシューズブランドへと成長していきます。

どんな困難が立ちはだかっても決して諦めずに進んでいく、挑戦し続けていく勇気をもらえる作品でした。ドラマも非常に楽しみですが、これは絶対に原作も読むべきです。

スポンサーリンク


-ドラマ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

ごめん、愛してる9話ネタバレあらすじと感想!律と凜華,別れのカウントダウン始まる

長瀬智也さん主演ドラマ「ごめん、愛してる」 前回までのあらすじ… 過去の事件により、余命僅かの主人公・律(長瀬智也)は韓国へと帰国しようとします。そこに凜華(吉岡里帆)が現れ、引き止めますが、その様子 …

刑事ゆがみ5話ネタバレあらすじ&感想 ヒズミはロイコ事件の少女で犯人はオダギリジョーか

浅野忠信さん、神木隆之介さんがバディを組むドラマ「刑事ゆがみ」 いい加減だけど鋭い観察眼を持つ弓神(浅野忠信)と、正義感溢れる刑事だけど腹黒い一面を持つ羽生(神木隆之介)のコンビが最高の刑事ドラマ。 …

no image

アキラとあきらネタバレあらすじ結末まで!運命に翻弄された二人に訪れる衝撃のラストとは!?

「半沢直樹」や「下町ロケット」などの大ヒットドラマの原作者でもある池井戸潤さんの作品「アキラとあきら」がWOWOWにてドラマ化されます! 原作小説「アキラとあきら」は実は10年以上前に書かれ表に出るこ …

黒革の手帖3話ネタバレあらすじと感想!更なる欲望を叶えるべく元子が動き出す!

武井咲さん主演ドラマ「黒革の手帖」のネタバレあらすじについてまとめています。 武井咲さん演じる主人公・元子の悪女っぷりが好評のようですね。 ~前回までのあらすじ~ 派遣行員として働いていた東林銀行から …

no image

屋根裏の恋人1話ネタバレあらすじと感想!樹(今井翼)の正体が早くもネタバレ?ホラー&ドロドロすぎてヤバイ

女優・石田ひかりさんが14年ぶりの主演作「屋根裏の恋人」が、大人の土ドラの枠でスタートしました。 誰もがうらやむようなセレブな生活を手に入れた主人公・西篠衣香(石田ひかり)。鎌倉の洋館に引越し新たな生 …