2018年第71回カンヌ国際映画祭にてパルムドール(最高賞)を受賞した、是枝裕和監督の最新作「万引き家族」
日本でも大きな話題となりましたよね。
是枝監督は、これまでの作品の中でも、実話の事件や出来事を元に構想を広げ、映画に取り入れられていることもあり、今回の「万引き家族」も元ネタとなった実話モデル事件があるのではないかと思い調べてみました。
結論から言うと、大きく2つの実際に起こった事件があるようなので、まとめてみました。
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映画「万引き家族」実話モデル事件①足立区111歳年金不正受給
2010年。
東京都足立区のある民家にて戸籍上「111歳」となる男性の遺体が見つかった。
この男性は2004年妻に先立たれた。
しかし、妻が亡くなった際に、届けを出しておらず、それ以降支給され続けた妻の遺族共済年金約900万円を不正に受給し続けた。
その後、男性は自宅の一室で亡くなった。
しかし、男性の娘と孫娘は届けを出さず、生きているかのように装った。
男性が亡くなってからも、娘と孫娘は、約30年近く男性が不正に受け取っていた年金を受給し続けた。
やがて、事件が明るみに出て、娘と孫娘は逮捕された。
映画「万引き家族」実話モデル事件②大阪吹田市 子どもに万引きさせる窃盗事件
2014年秋。
お客さんで賑わう土曜の昼下がり。大阪府吹田市にある、釣具店に親子5人が訪れた。
- 父(36歳)
- 母(33歳)
- 長男(14歳)
- 次男(12歳)
- 長女(9歳)
親子は全員金髪に上下黒のジャージ姿という風貌で目立っていた。
5人は、店内の釣り竿などが置かれている、釣具セットの近くで家族会議のようなものを開き、やがて両親は子供3人を残し、その場から立ち去る。
すると、両親は別の道具を手に取り、店員に質問攻めをし、数千円程度の釣りの仕掛けなどを購入。
やがて、子どもたち3人とも合流し、車で店を去っていった。
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しかし、この親子の行動に違和感を抱いた店員が防犯カメラを確認すると、驚くべき映像が残されていた。
長男が、出入り口に設置された盗難防止装置にて、店の釣具セットを近づけ何度も確認している。
未精算のものを持ち出そうとすると、ブザーが鳴る仕組みになっているが、この日は故障していた。
やがて、ブザーが鳴らないことを確認した長男は、手にしていた釣具セットをそのまま持って店外に走り出し、残っていた2人の兄妹もそれぞれ釣具セットを持って後を追うように外へ出て車の方へ向かった。
その間、店員は両親の質問攻めにあっており、気づくことはできなかった。
店員は店長に伝え、また来るだろうと警戒していた。
そして1週間後。
今度は子どもたちの姿だけでなく夫婦だけだった。
男が釣具セットを手に取り、店の外に出ようとした次の瞬間、盗難防止装置のブザーが鳴った。
男は驚きそのまま釣具セットを持ったまま、駐車場に停めてあった車に乗り込み、妻を置き去りにしてその場から逃げ去った。
一人残された妻は、男について知らない人だと主張し、1週間前の子どもたちの犯行についても知らないと否定した。
店長はすぐさま警察に通報。
両親は「子どもたちが勝手にやったことだ」と容疑を否定。
しかし、捜査の結果、子どもたちに万引きをするように指示するようなメールが見つかり、両親を窃盗容疑で逮捕。
当時14歳の中学生の長男は少年鑑別所に移送され、12歳の次男、9歳の長女は保護され、児童相談所に通告された。
さらに、父親は月に40万円の収入がありながらも、5年前から生活保護費を不正に受給していたという。
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その他映画と実話事件まとめ
こういった事件はこの2つだけでなく、年金不正問題や、親が子どもに万引きをさせるといった類似事件は他にも起こっています。
特に年金不正事件は氷山の一角との言われており、なかなか見つけるのも難しいよう‥。
そして、今回の「万引き家族」だけでなく、是枝監督の過去の作品でも実話モデルとなった事件が存在するので、簡単にまとめてみました。
■映画「誰も知らない」:巣鴨置き去り事件
1988年。
父親が蒸発し、やがて母親も新しくできた恋人と暮らすため、長男に兄妹3人の子どもたちの面倒を押し付け家を出る。
母親は生活費として数万円程度送り、時折自宅に戻って様子を見に来るなどはしていたが、所謂ネグレクト状態だった。
後に、長男の不良仲間のたまり場になっていると大家さんが気付き、通報。
すると、子どもたちだけで暮らしていることが発覚し、事件が明るみになった。
■映画「そして父になる」:赤ちゃん取り替え事件
昭和52年。沖縄県にて。
小学生にあがる直前の血液検査で、娘が血がつながらない他人の子どもであることが判明。
調べた所、出生時に病院にて取り違えられたことがわかった。
やがて、取り違えられた二人の子どもはそれぞれの両親の元へ戻されることとなったが、一筋縄ではいかず、お互いの家族が交流しつつ、葛藤しながら少女たちは成長し大人になっていった。
【詳しくはこちら】
そして父になるネタバレ結末はどっちを選択?原作実話の壮絶な運命に涙が止まらない
おわりに
是枝監督の作品は、まるでその家族を、ふすまの隙間からじっーと覗き見しているかのように、自然な雰囲気が醸し出されているものが多いので、ついついどの作品も実話なのではと思ってしまうリアリティさがあります。
確かに参考にしている部分もありますが、まさに「事実は小説より奇なり」と言いますか、実話はもっと壮絶で、胸が締め付けられるような内容であったり、悲惨であったり‥。
映画「万引き家族」は、確かに実話を元ネタとしたところはありますが、単に年金を不正受給したり、万引きさせたりする家族ではなく、犯罪でつながっているけれど、何か絆のようなものがあります。
生きることや家族のあり方を非常に考えさせられる内容となっていますので、まだ見たことない方は、ぜひ一度鑑賞することをおすすめします。
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