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火垂るの墓実話 野坂昭如(作者)の体験が映画と違いすぎて絶句!節子&清太生きてるその後あらすじネタバレ

投稿日:4月 13, 2018 更新日:

日本が誇るアニメ界の巨匠・高畑勲さんが2018年4月5日に亡くなりました。

これまで数々の名作を世に輩出してきた高畑勲さんの代表作の一つ「火垂るの墓」が金曜ロードショーにて放送されます。

両親を亡くした兄と妹が戦争前後の混乱期を必死に生き抜こうした物語。涙なしには見られない名作です。

さて、そんな映画「火垂るの墓」は、作家・歌手・タレントなどマルチに活動されていた野坂昭如氏の実体験を元に描いた小説「火垂るの墓」が原作です。

野坂昭如氏の実際の体験を元に書かれた小説ですが、映画とは大きく異なる点が多々あり衝撃を受けたほど‥。

今回は、「火垂るの墓」の元となった実話を紹介すると共に、知られざる節子と清太が生きていたら‥というパラレルストーリーがありますので、簡単にネタバレしたいと思います。

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火垂るの墓【映画】を簡単に振り返り

まず、映画「火垂るの墓」のストーリーを簡単に振り返ってみましょう。

1945年6月5日。14歳の清太と、4歳の妹・節子は神戸大空襲により母と家を失い、兵庫県西宮の親戚の家に身を寄せる。

最初は快く二人の面倒を見てくれていた叔母さんだったが、戦争が進むにつれ食料も減り、二人を疎ましく思うようになる。

居心地が悪くなった清太は溜池近くの防空壕で節子と二人で暮らし始めるが、配給は途切れがちになり、節子は次第に栄養失調で弱っていく。

それでも清太は、畑の野菜を盗んだり、空襲を受け火事になっている家に侵入し食料を盗んだり警察に捕まりながらも、節子のために奔走した。

さらに節子のために蚊帳の中に蛍を放ってあげたり、ドロップを食べさせたり、発疹やシラミで侵された節子の体を拭いてあげたり、甲斐甲斐しく面倒を見続けた。

しかし、日本が降伏し、父が乗っていた連合艦隊も壊滅したと知った清太は激しいショックを受ける。

一方で、節子の栄養失調は深刻化し、栄養のあるものを食べさせようとするが、節子は亡くなってしまった。

節子を荼毘に付した後、清太も栄養失調で頼る人もおらず、まもなくして亡くなった。

実話 火垂るの墓 野坂氏の体験とは‥

ここからは作者・野坂氏のストーリーを紹介したいと思います。

幼少期、母と死別し神戸で貿易商を営む叔母夫婦に引き取られ養子になった野坂氏には妹が二人いた。(妹も養子だったため血の繋がりはない)

しかし、1945年6月5日の神戸大空襲により義父が亡くなり、14歳だった野坂氏は下の妹・恵子(1歳6ヶ月)と西宮の親戚の家に身を寄せた。(上の妹は病気で亡くなった)

やがて、野坂氏は同じく親戚の家に住んでいた2歳年上の京子に初めての恋をし夢中になっていく。

親戚の家では、食料不足はあったものの、叔母からはひどい扱いを受けることなく過ごしていた。

野坂氏は、幼い恵子のために、蚊帳の中に蛍を放ってあげたり、夜中におぶって夜風に当たらせてあげたり、発疹とシラミで侵された肌を癒してあげるために水浴びをさせたりしたこともあった。

しかし、まだ14歳だった野坂氏は、幼い妹の面倒をみることが次第に疎ましく感じ始め、泣き出す恵子を叩いて泣き止ませ脳震盪を起こさせてしまったこともあった。

その後、神戸から福井へと疎開し、益々食料事情が厳しくなると、恵子にろくに食べ物をあげないこともあった。

おかゆをあげる時も恵子には重湯の部分をあげ、自身が食べる時は皿の底からすくって実を食べていた。

恵子の分の食料も自分一人で食べてしまうこともあり、日に日に恵子は痩せ細り、やがて野坂氏の腕の中で亡くなった。

野坂氏が自ら恵子を荼毘に付し、その遺骨をドロップの缶に入れたのだった。

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小説「火垂るの墓」は野坂氏の妹・恵子への贖罪

「火垂るの墓」では、清太が懸命に妹・節子の面倒を見る姿に心打たれますが、実話では妹・恵子のことを疎ましく思い、食事を与えないこともあり、栄養失調が進んで恵子は亡くなってしまったという衝撃のストーリーでした。

しかし、まだ14歳だった野坂氏。戦後の混乱の中で、自分のことだけでも精一杯の中、1歳6ヶ月で意思疎通も難しい恵子の親代わりになるのは難しかったのかもしれません。

映画の中で清太が節子にしてあげたように、野坂氏も恵子に蛍を見せたり、体を海水で癒やしてあげたりと優しい一面ものぞかせています。

しかし、そういった良い面でなく、自身がいい兄ではなかったことも自伝で赤裸々に語っています。

「火垂るの墓」は、十分に愛情を注いで面倒を見てあげられず亡くなってしまった恵子への贖罪でもあり、こういった実話があったからこそ、小説の中では野坂氏が恵子にしてあげたかった最大限の思いが込められているようです。

火垂るの墓 節子&清太が生きていたら‥もう一つのストーリー

火垂るの墓と言えば日本人のほとんどが知っている作品ですが、実は節子と清太が生きていたら、その後どんな人生を歩んでいたのか‥というもう一つ別のパラレルワールドだと言われている物語が存在します。

これは原作者・野坂氏が小説「アメリカひじき」として発表しているものであり、この物語に出てくる主人公・俊夫が清太なのではないかというもの。

物語は、清太らしき人物が36歳になったところから始まり、節子らしき妹はほんの少しだけ登場します。

清太の妻が旅行先で訪れたハワイにてアメリカ人老夫婦と友だちになり、やがて来日する夫婦をもてなすことから、戦後のアメリカとの関わりを回想していくというストーリーです。

簡単ではありますが、その後の物語をご紹介します。

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昭和20年(1945年)14歳の俊夫(清太)は病身の母と、妹(節子)とともに新在家の焼跡の壕にて過ごしていた。

貴重な男手として井戸まで水を汲みに行ったり、雨で水浸しになった壕から水をかき出したり俊夫がいなければできないことも多かった。

そして8月15日、近所の人の話から日本が降伏したことを知った。壕に戻り、母に戦争が終わったことを告げると、シラミがついた髪をクシでといていた妹が「お父ちゃん帰ってくる?」と口にした。

しかし母は黙ったままだった。

その後、アメリカからの物資が届いた。物資の中に、黒いひじきのようなものがあり、妹と煮て食べてみるが、まずいまずい‥。

後にわかったことだが、それは紅茶というものだった。

昭和21年(1946年)大阪のはずれに住んでいた俊夫たち家族は、配給が遅れがちになり、空腹に耐えられず妹と一緒に、塩とふくらし粉を水で溶いてお腹を満たしたこともあった。

ようやく配給が届いたが、米の代替品としてチューインガム支給されることもあった。

自宅に持ち帰ると、妹は歓声を上げて喜び、母は父の仏壇に添えた。妹はさっそくチューインガムを口の中に放り込んだ。

しかし、チューインガムではお腹は満たされず、結局闇市で売りとうもろこしの粉を購入して飢えをしのいだ。

戦後、学校に通っていた俊夫だったが、病身の母と妹を養うために退学。工場や新聞の広告取りなどをして働き始めた。

成長した妹が学校に通いながら家を取り仕切っていた。

ある日、街を歩いているとアメリカ兵と付き合いたいから声をかけてほしいと、ある女性に頼まれ、わずかばかりの英語を使って二人を引き合わせた。

翌日、その女性からアメリカ兵にもらった食べ物を売ってきてほしいと頼まれ、買い取ってくれる店を知っていた俊夫は売り捌きに行く。

これをきっかけに俊夫はしばらくポン引きのような仕事して生計を立てていた。

やがて大人になった俊夫は年下の妻・京子と結婚し、長男も誕生。小さいながらもCMプロダクションを経営し、平穏に暮らしたのだった。

(おわり)

俊夫の話がほとんどメインであり、節子らしき妹はほんの少しだけ登場します。(名前も登場せず妹とだけ記されています)

しかし、二人共戦争を乗り越え、妹がチューインガムを食べるシーンなどが描かれていたり、節子らしき人物が成長して過ごしている様子に触れることができ、なんだかじーんときてしまう作品でした。

俊夫も大人になり、結婚して子供も誕生し、CMプロダクションの経営しながらも平穏に暮らしているようですし、何だか少しは救われたような気がして良かったなと思います。

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