松本清張原作「疑惑」が米倉涼子さん主演でドラマ化!
これまで幾度となく映像化されてきた名作中の名作です。
また、実は小説創作にあたってのモデルとなった実話の事件が存在します。
今回は「疑惑」のネタバレあらすじを結末まで簡単にまとめるとともに、モデルとなった「別府三億円事件」についても合わせてまとめてみました。
ネタバレを知りたくない方はご注意下さい。
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疑惑松本清張ネタバレあらすじ【始まり】
白河球磨子:くまこ(黒木華)は夫・福太郎とドライブ中に、車ごと海に転落。
夫は亡くなり、球磨子は車から脱出し一命をとりとめた。
目的証言では、球磨子が運転しており、夫が助手席にいたことになっている。
しかし、球磨子は夫が運転していたと否定した。
やがて、警察や記者たちは、前科があり素行が悪い球磨子を犯人だと追い詰めていく。
退院した球磨子を週刊誌の記者たちは「保険金目当ての殺人犯」だと、球磨子を「鬼クマ」と呼び、記者の秋谷(板尾創路)はセンセーショナルに事件を取り上げた。
やがて、警察は事故を起こした車の中からスパナが見つかったと、球磨子を犯人容疑で逮捕。
警察は、球磨子が車を海に落とし、事前に持っていたスパナで窓を破り脱出したのではないかと容疑を問い詰める。
しかし、球磨子は容疑を否定。
警察も決定的な証拠を提示することはできなかった。
そんな球磨子の弁護を、佐原卓子(米倉涼子)が引き受けることとなった。
【球磨子の生い立ちと事故】
ホステスとして働いていた球磨子は、裏社会の男たちとつながっており、これまで強盗や恐喝など様々な事件を起こした過去があった。
やがて、店に訪れた福太郎に近づき結婚。
福太郎は10年前に正妻を亡くしたこと、代々続く老舗企業の社長であることから、福太郎に近づいた。
しかし、結婚後福太郎に思った以上に財産はないことがわかり、3億円もの保険金を契約させた。
その1年後、転落事件が発生した。
【疑惑】
佐原卓子は球磨子の態度の悪さから、無実であることの裏返しでもあると事件を調べていく。
そんな中ある2つの疑惑に注目する。
- 運転席の下に置かれていたスパナ
- 福太郎の右足の靴が脱げていたこと
1、運転席の下に置かれたスパナ
球磨子が事前にスパナを用意し、フロントガラスを割って逃げたと思われた。
しかし、後の検証で海に落ちた衝撃でフロントガラスが割れたことが判明。
またスパナは福太郎が車内に持ち込んだものであり、球磨子はその理由について全く知らなかった。
2、福太郎の右足の靴が脱げていたこと
発見された福太郎の右足の靴だけが脱げていた。
海に落ちた衝撃からだと、記者の秋谷から言われるが、佐原は腑に落ちなかった。
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【真相】
佐原はある真相にたどり着いた。
福太郎の死は「自殺」だった。
球磨子と結婚した福太郎は、球磨子の悪女っぷりや、球磨子を嫌って孫が離れていき孤独に陥っていった。
また、球磨子も道連れにすることで、保険金を受け取らせないようにし、球磨子への復讐も込め心中を決意。
福太郎は、自分がいざとなった時に思い留めることができないよう、履いていた右側の靴とスパナを、ブレーキの下に押し込み逃げられないように自らを追い詰めたのだった。
佐原は、この証言を法廷でするつもりであることを、秋谷に話した。
後日。
秋谷が佐原の前に鉄パイプを持って現れたのだった‥。
(原作おわり)
疑惑松本清張ネタバレあらすじ原作【感想】
原作では、記者である秋谷が球磨子の生い立ちや事件をセンセーショナルに取り上げ、警察とも絡み、球磨子を犯人として仕立て上げていきます。
しかし、突然現れた一見優秀に見えない佐原の鋭い洞察力によって、球磨子が無罪である可能性が判明していきます。
秋谷は無罪になるであろう球磨子に怯え、裏社会の男を引き連れ、これまでの仕返しにくる妄想に掻き立てられ、追い詰められていきます。
その結果、真実を暴き球磨子の無罪を証明しようとする佐原の前に鉄パイプを持って現れる・・・という、恐ろしいラストで締めくくられました。
ドラマ版では、佐原が球磨子の無実をきちんと法廷で証明する結末になりすっきりしたラストになるのではないかなと思います。
また、実はこの作品実際に起きた事件「別府三億円事件」がモデルにされたと言われています。
調べてみると似ているところが多くてビックリ!
「別府三億円事件」の概要を簡単にまとめてみました。
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疑惑(松本清張)モデル【別府三億円事件】
1974年大分県別府市。
国際観光港第三埠頭にて1台の乗用車が海に転落。
車内には、夫、妻、二人の子供が乗車しており、泳いで脱出した夫は救出された。
しかし、妻と小学生だった二人の娘は亡くなった。
救出された男は近くの病院に運ばれ、命に別状はなく大きな怪我もなかった。
男は家族でドライブにでかけた。
夫婦には15歳になる長男がいたが、受験勉強のため自宅で留守番をしていた。
別府市の自宅を出た男は、妻と運転を代わりながら下関を見物し、夜に大分の夜景を楽しもうと大分の国際観光港第三埠頭に向かった。
この時に運転していたのは妻で、夫は疲れていたため助手席でうとうとしていたという。
そして、次の瞬間‥妻の運転する車が転落。
衝撃でフロントガラスが割れ、男は脱出し一命をとりとめた。
一瞬にして家族を奪われた男は、悲劇の男として新聞に取り上げられた。
男は事件が起きる14年前に離婚した過去があった。
そして、事故が起きる1年前。
大分市の結婚相談所を訪れ登録した。それから間もなく、一人の女性を紹介された。
彼女は生活保護を受けながら女手一人で、子供3人を育てていた。
そんな彼女を守ってあげたいと思った男は、女性にプロポーズ。出会ってから1年後に結婚した。
3人の子どもたちと養子縁組をし、休日には家族でドライブによくでかけていた。
そのドライブ中に事故が起き愛する妻と娘2人を亡くした‥。
しかし、マスコミが男について調べ始めた所、次から次に彼のとんでもない過去が明らかになっていく。
農家の長男として生まれた男は、22歳の時、恐喝罪で逮捕。
さらに、保険金詐欺で懲役8年の実刑判決を受けていた。
他にもいくつかの罪を犯しており、人生の大半を獄中で過ごしていた。
また、事故から2日後に行われた妻と娘の葬儀に男は現れなかった。
さらに、結婚直後に女性と子供2人に総額3億円(当時9億円)もの保険金がかけられていたことが判明した。
メディアは、男が保険金目当ての殺人犯ではないかと取り上げた。
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事故から4日後。
男本人が記者会見を開いた。
葬儀に出なかったのは身内から責められたこと、保険金の受取人になっていないと反論し身の潔白を主張した。
妻が亡くなった場合保険金の受取人は、3人の子どもたちになる。
しかし、子供たち2人が亡くなっているため、男が大半を受取ることになるのだ。
男の会見の態度の悪さに、一般人から彼をなぜ逮捕しないのかと抗議の連絡が警察に殺到した。
しかし、決定的証拠がなく警察も逮捕に踏み切れなかった。
事件から24日後。
平日の3時台に放送されたワイドショーに男は生出演し、カメラの前で身の潔白を主張した。
しかし、カメラの前で話した男の話しと、男を現場から助けた目撃証言とは大きく話が違う点があった。
男は岸壁に引き上げられた後、車内に子供がいることを話した。
しかし、ワイドショーでは、海で泳いでいる時に車内に妻子がいると訴えたと事実と違った。
そのことを番組関係者が指摘すると、男は激怒しスタジオを出ていった。
さらに、すぐに緊急の記者会見を開き、身の潔白を主張した。
しかし、生放送の直後、男は殺人容疑で逮捕されたのだった‥!
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ところが警察はこの時点でもまだ、決定的証拠は見つけられていなかった。
決定的な証拠がないのになぜ逮捕に踏み切ったのか?
それは新たな「疑惑」が見つかったためだった。
男の車には細工がされていた。
車内に取り付けられた、水抜き穴があるが、4つのゴム栓が抜かれていた。
さらに、警察は同じ車種を使い検証実験を行った所、衝撃でフロントガラスが割れ、車は15秒ほどで水没する。
転落後、男は割れたフロントガラスからすぐに脱出。
妻と子どもたちは突然のことにパニックを起こし、逃げられなかったのではないのだろうか。
15秒で沈む車からすぐに脱出することは容易ではない。男は事故を予測していたのではないだろうか。
しかし、男はあくまでも妻が運転していたと主張。
発見時、妻の遺体は子どもたちを守ろうとしたため後部座席にあり、運転席か助手席どちらにあったのかわからない。
警察は、決定的な証拠を探し続けた。
しかし、なぜ警察はまだ決定的な証拠がない中で男を逮捕したのか?
実は、男がワイドショーに出演したその日、一部のマスコミがスクープしてしまった。
警察はマスコミに煽られる形で、男を逮捕してしまったのだった。
やがて男の裁判が始まった。
裁判で男の本性が明らかとなっていく。
警察は新たな疑惑の他に不可解な結婚についても問い詰めた。
男は、結婚相談所に条件を出した時、母子家庭で小さい子供がいる女性を望んだ。
その後、女性を紹介され、出会った当初妻は交際に前向きではなかった。
しかし、結婚したら養育費をなんとかすると言われ、プロポーズを受け入れた。
しかし、女性の長男と長女は男に懐くことはなかった。
さらに結婚してからも一緒に生活することはなく、男は向かいのアパートで暮らし、女性が通い妻をしていた。
男には他にも複数の交際していた女性がおり、アパートにも招いていた。
また、事故の数日前、交際していた別の女性に、自分が事故で死んだら飼っているインコをあげると言っていた。
24年前に保険金詐欺事件を起こし、8年の実刑判決を受けている過去もある。
このことからも、男が犯人であることは限りなくクロに近いと見立てられた。
しかし、これらは事実からの推測による状況証拠にすぎない。
裁判では、事故の瞬間どちらが運転していたかに注目された。
法医学専門医に協力を要請。
そして、法医学の検視により、妻がダッシュボードにできた足の傷の位置と凹みの位置から、妻は助手席に乗っていたであろうと指摘。
しかし、弁護士は鑑定結果の不備をつき、裁判の流れは男に有利に傾いていった。
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事件から2年後。事件は急展開を迎えていく。
ある一人の目撃者が証言台に立った。
事件があった夜の日、国道を走っていた男。
途中、交差点で信号待ちのために車を停めていた。
その時、隣に止まっていたのは容疑者の男の車。
そして、運転席を見た所、女性ではなく男性。つまり、運転席に座っていたのは男であると証言した。
弁護士は信号で停まっていたからといって、運転席を覗き込んだりしないと指摘。
しかし、証人は友人が事故車と同じ車種に乗っていた。だから友人かと思って声をかけようとしたところ、男が運転席の乗っていたと話した。
さらに、運転していたのは妻で自分ではないと証言する男の姿をテレビで見て驚愕したのだという。
当初は、彼の息子はひき逃げ事故を起こしていたため、警察に協力することを避けていた。
しかし、連日の報道で妻が運転していたと主張を続けている男の姿を見て、法廷に立ったのだった。
5年半後。
男は有罪判決を受け死刑を宣告された。
判決を不服とした男はすぐさま控訴したが棄却され、最高裁に上告。
しかし、男はがんを患い、医療刑務所で亡くなった。
(おわり)
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